映画「膝の上」を一緒に見る会 おじいさん役に大注目

映画「膝の上」を一緒に見る会 おじいさん役に大注目

映画「膝の上」(Pangku)の舞台を訪ねる「Pangku tour」に一緒に行った昭島さん(仮名)、横山裕一さんと3人で、「Pangku上映会」を開催した。インドネシアで「nonton bareng」(一緒に見る)、略して「nobar」と呼ばれる視聴会。ピザのデリバリーを頼み、パソコンをテレビにつないで、Netflixで視聴開始。コメントしながらワイワイ見るつもりが、見入ってしまった。「社会問題を取り上げた芸術作品。だけど、現実はこんなに美しくないですよ」と昭島さん。特に盛り上がった点を下記に。(※うっすらネタバレ)

3人でピザ4枚。プロモ2枚のせいで恐ろしい量に
3人でピザ4枚。プロモの2枚が追加されたせいで、恐ろしい量に。写真に写っていないもう一枚はそのままお持ち帰りとなった

「映画のワルン・コピはパントゥラじゃないかも」

 主人公のサルティカが魚市場を訪れるシーンで、建物に「TPI Eretan Kulon」(エレタン・クロン魚市場)とはっきり書かれていること、小学校の先生の制服に「Kab. Indramayu」(インドラマユ県)と縫い付けられていることから、舞台はインドラマユ県エレタン・クロンで確定。しかし、ロケ地はそこだけではないようだ。

 カラオケ店が立ち並ぶ冒頭のシーンは「パントゥラ(北岸線)近くではなく、内陸部の〇〇かもしれませんね」と昭島さん。映画の舞台は沿岸部だが、内陸部も含めたロケ地3カ所ほどを組み合わせているようだ。サルティカの家の近くの防潮堤には番号が書かれていたので、「今度、探してみますか?」という話に。

「おじいさん、いい役だよね。一言も語らない。背中で語る」

 クリスティン・ハキム演じるワルンの女主人の夫役のおじいさんに注目が集まった。あまりの自然さと「こういう人いるよね」ぶりに、「エキストラ?」というコメントも出たぐらい。しかし、後で調べたら、もちろんエキストラなどではなく、ホセ・リサル・マヌアという著名な俳優だった。それにしても、まったく「演技」と感じさせない所がすごい。

 「あの無言かつ背中と優しげな行動で醸し出す味がなければ、Pangkuの魅力は半減していたでしょうね」(昭島さん)

 「無骨ながら嬉しい屋台屋根のトタン!」(横山さん)

 2025年テンポ映画祭では助演男優賞にノミネートされている。賞を取ってほしいレベルの演技であり、ノミネートしたテンポのセンスの良さが光る。

 彼以外にも、改めて見てもキャスティングの良さを感じる。いわゆる「ちょい役」にも、ルクマン・サルディ、ハッピー・サルマら有名俳優が出演しており、強い印象を残す。

「水筒の中は酒?」

 トラック運転手のハディが水筒を取り出して飲んでいる、その中味は酒だろう。ウイスキーか、はたまたワイン(オラン・トゥア印の)か、気になる。

「うまくごまかしたね」

 サルティカがハディに「奥さん、いるの?」と聞いた時、ハディはその問いには答えない。そして「私は子供が欲しい。あなたは夫が欲しい?」と聞く。「子供が欲しい」というのはハディの本音だろうし、単に「だました」わけでもない悲哀を感じる。

「どこでもミーアヤム食ってるね」

 最後の伏線のためか、ミーアヤムを食べているシーンが非常に多い。映画のお供はピザではなく、ミーアヤムにするべきだったか。

長毛犬のナゾ

 帰って来ない父親は「『Anjing Gondrong』(長毛犬)の所にいるんだって」と子供が母に語る。レザ・チャンディカ演じる魚市場の主のような人が「Gondrong」(「ぼさぼさの長髪」という意味)という名前で、彼の下で働いていたギランは罵り言葉として「Anjing」(犬)と呼ぶ。それが一緒になると「長毛の犬」という意味に。ちょっとしたナゾを生み、そのナゾ解明と共に、サルティカの夫の真相が判明することになる。

カレンダーで年がわかる

 映画館ではあまり気付かなかったり、文字がはっきり読めなかったりしたのだが、さりげなく写るカレンダーで、その「年」を伝えていた。サルティカが夢破れて現実に戻る時は「2005年」のカレンダーが掛かり、子供が成長したエンディングはその11年後の「2016年」のカレンダーが掛かっている。1998年生まれのバユは18歳となる。映画は1998〜2016年の物語。改めて見ても、疑問になる所、ひっかかる所がいっさいなかった。