バッグ道を行く

バッグ道を行く

Tas, tas, tas…

 「今、バッグ、いくつあるの? 1日1個、順番に使うとして、1個のバッグは、1年にたった数回しか使われないよね? それって、バッグがかわいそうじゃない?」と友達に言われたことがある。そういう問題ではないのだ。

 私は「バッグ好き」だが、いろんなバッグをたくさん欲しいわけではない。バッグを収集しているわけではない。「究極の1個」を探し続けているのだ。

 「あ、これは使いやすそうだ」と思う。「これで全ての問題が解決されるのではないか」という期待が一気に膨らみ、わくわくして買う。しかし、使ってみると、「ここがちょっと……」という不満が出て来る。その不満を解消してくれそうなバッグを探す。そうやって探しているうちにも、仕事のやり方やライフスタイルが変化していく。「時と場に応じて」の「時と場」が変遷していくので、バッグ探しに終わりはない。「バッグ道」だ。

 そんな偉そうなことを言っているわりに、特に使い道のないバッグを衝動買いしてしまったり、私のバッグ好きを知っている友達がバッグをプレゼントしてくれたりで、「バッグがバッグを呼ぶ」と言うか、どんどん増えていく。トートバッグ、東袋(あずまぶくろ)、かごバッグ、tas, tas, tas……(「tas」はインドネシア語で「バッグ」です)。

 服もほとんど買わないのだが、バッグだけはやたらと買い続けてしまうのはどういうわけか。「きちんと収納したい」、そして、「もっとうまく仕事をしたい」という無意識の表れなのかもしれない。

 買って手元に届いた途端に「あ、やっちゃった(失敗したかも)」という品もあるし、一回も使っていないバッグさえある。もちろん、すてきなバッグ(「完璧」ではないが)も。インドネシアで追求を続けているバッグ道のお話です。