自由律

自由律

黒猫の耳立つ共にアザーン聞く

曇天に停止した街 猫を抱く

雲の湧く窓でまどろむ猫起きる FaceTimeのウグイスの声

落日の赤 猫の目に灯りおり

ラマダンの陽が落ちてゆくオレンジの光一点猫の目に見ゆ

夕焼けに取り残されし夜の猫

エアコンをつけ星のよな夜景見る39℃の猫胸に抱き

猫の手をてのひらに受け月を待つ

いるだけでいいよと猫にささやけり猫も私に同じこと言う

渋滞

夕焼けを期して目をやる窓の外 渋滞の赤 道に瞬く

夕焼けとライトの赤を突き進む

スペースを探して縫えりジャカルタの車とバイク 動くテトリス

ブカ目指し夕日と時と競争す 車とバイク帰路を急げり

スコールに車窓の外は水の中 にじむライトの赤緑黄

チリウンと線路の間行き止まり mondar-mondirさまよえる帰路

GoCarでさまよう街のここはどこ私は誰の太古の問いを

赤赤赤 怒る王蟲の群れのごと渋滞の中ジャカルタの道

「長岡にいました」という運転手 隙間を縫いて道疾走す

ジャカルタ

ヤシの葉をアザーンと共に風通る

霜月や熱気に白く光る街

強風に白い花散り雨きたる

窓開ける ごおおと響く 雨の音

ジャカルタに降る雨 ぼたん雪に似て

稲光 夕焼け空を白く染む

新年の花火キラキラパラパラと一瞬で消ゆ夢のごとくに

屋根瓦連なる果ての地平線 街尽きるまで歩いていきたい

飛行機が触れ 沈み込む 地平線

ヤシの実の黄色の横に赤信号

ぴらぴらとIDカードはためかせ退勤していくワーカーの群れ

三日月の太りてレバラン休み明く

鳩の群れスモッグの空に見失う

エアコンの微かな風にバティック揺れる

目薬を挿し見上ぐれば夏の雲

斜光線 車突き刺し 目をつむる

天をさすヤシの若葉の堅固なる

スモッグと熱気で白し神無月

戦いは終わらぬものか 爆弾の来ぬジャカルタで マンゴー実る

青空を横切るひこうきぐも白くホワイト企業を退勤す五時

パパイヤの白き花咲く神無月

コロナ

マスク越しでも香り来る夕の雨

コロナ明け 空に広がる うろこ雲

賀集さん

友思う日本勝利の朝の虹(W杯)

友去りし空の下にて歩みおり(チレボンで)

戸を閉ざす友の家来るパチェそびえ

コロナ明け友の忌日は近付けり

6・29で止まる日めくりひるがえり ページをめくる八月の風(2023年8月記)

ペン子ちゃんクッション胸に強く当つ 我の心臓打つ音聞こゆ

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青い鳥タクシーとして走りおるインドネシアへ探しにおいで

路地を行くブルーバードの水色が褐色の街水たまりのごと