インドネシア人の名前を書く [書道] #18
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2024年7月からいっさい筆を持たず、5カ月間ぐらいも書道を休んでいた。これまでのような単なる「サボり」ではなく、ある出来事があって、「もう書道はやめようか」とまで思ったのだ。とりあえず結論は保留することにしたが、すぐ取り出せる場所にスタンバイさせていた筆も紙も、棚の中へしまい込んでしまった。
「書道をまたやろうかな?」という気になったのには、いくつか理由がある。まず、友人の竹田有希さんが「『ねこと書道』のバティック」の制作に取りかかり、その下絵をLINEで送ってくださったこと。何を言っているかわからないと思うが、これについては、また改めて「ねことバティック」のサイトで自慢したい。それから、高校時代の恩師に「楽しんでいたのなら、書道はやめるべきではありません。続けてください」と言っていただいたこと。

そして、「+62チャップ・バティック体験ツアー」をしているインドラマユのバティック工房で、「先生」になる職人さんの名前が、カタカナ書きでプリントして壁に貼ってある。「これを筆で書いてあげたいな」と、常々思っていた。プリントでは味気ないし、筆で書いたら職人さんにも喜ばれるのではないか、と。2024年11月のツアーが終わってから急に「やってみようか」という気になり、しまいこんでいた筆と紙を取り出した。
いきなり書いてみたのだが、やはり難しい。うーん……やっぱりちょっと練習して、筆の使い方を思い出してからにするか……。そこで、もらっていた手本を使って練習を始めると、だんだん、やる気が出て来た。帰国する友人からいただいた書道専門誌「墨」も久々に何冊か開いてみた。昔の書家、今の書家、さまざまな字、さまざまな表現。ページをめくっていると、多様で豊かな書の世界が目の前に再び広がっていくようだった。
とりあえず、私の課題は「職人さんの名前」だ。普段習っているのは、楷書、行書、隷書、篆書、かなで、カタカナは出て来ない。これまでやったことのないカタカナ、おまけに手本なし、というのが非常に難しい。カタカナは漢字の一部でもあったりするのだから、漢字(楷書)の応用で書いてみるものの、バランスが難しい。書道の良さや面白さも、カタカナでは表現しにくい。
日本の友達に話すと、「漢字にしてみたら?」と言う。カタカナを漢字で当て書きする、それは禁じ手ではないか、まるで暴走族ではないか、と思ったが、考えてみれば「変体仮名」も当て字だ。「音が同じ」というだけで、意味的にはまったく関係のない漢字を当てている。その方が見栄えが良い、変化を出せる、という理由からだ。そう考えてみれば、当て書きもあり?
どうせだったら、その人のイメージを表す漢字にしたい。「音重視」なので、素直にぱっと読めないキラキラネームはなしだ。確実にその音で読めること、その人のイメージに合っていること、そして、美しい字。いくつか候補を考えてみた。実際に書いてみて、書きやすさや座りの良さなどを考えて、次の漢字にした。
キルヤ 木瑠也
最ベテランの職人さん。無口で一見怖そうだが、ツアー参加者から大人気。武士っぽいイメージと考え、最後は「也」。「る」は「流」も良いが、読みに少し迷うため(「りゅう」とか)、確実に「る」と読める「瑠」にした。
ママン 真万
忍耐強く、とても優しい職人さんで、キルヤさんと人気の双璧をなす。工房主のエディさんは、面倒でややこしいデザインを作りたがる人には、ママンさんを指名する。「真」は決まり。「まん」は「満」にしようかと思ったが、書きにくかったので「万」にした。

イムロン 伊夢論
ママンさんの弟。「い」は、「イ」の付いた「伊」で良いだろう。「夢」「論」も、なんとなく、そんな感じだ。

ビリン 美林
最近加わったばかりなので性格はあまりわからないが、明るい人。これ以外の漢字は思い付かず、きれいな漢字にした。
エディ 江D
工房のオーナー。「ディ」の漢字がない! 「い」に当てた漢字を小さく付けるのも変だし、苦肉の策で「D」。「江」は、港町インドラマユの雰囲気を出したつもり。
アトゥン 亜敦
エディさんの妻。「敦」は「トン」になってしまうが、これは大目に見てもらおう。意味は「人情があつい」らしい。「敦煌」といった、美しいイメージを出したかった。
翌月のツアーに間に合わせようと思って、大量の紙をムダに消費しつつ練習していたのだが、ついに清書には至らなかった。長く工房の壁に貼られるかもしれない、と考えると、ある程度納得したものでないとダメだ。この続きは、また。


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