散歩 [書道] #11

散歩 [書道] #11

 ギリギリの所で破門を許されて、私の書道生活は第二フェーズに突入した。課題は必ず全部やり、「ねこと書道」にも慣れてきた。書道が楽しくて仕方がない。

 家で課題をする順番は、まずは「かな」から。「かな」は時間がかかり、清書までなかなか行き着かないので、一番最初にやる。次は隷書。隷書は迷路だ。私のレベルでは、いくら練習しても結果はあまり変わらないと思えるので、ある程度やったら、すぐ清書して終わりにする。楷書はいくらやってもキリがないため、最後に回し、時間切れになるまでやる。

 レッスンは週1回、毎週土曜日の午後2時。土曜日は大体、最後のあがきで午前中もずっと書いている。午後1時ごろに家を出て、タクシーで先生の家に向かう。レッスンはマンツーマン。課題を見てもらった後、新しい課題を目の前で先生が書いてくれる。大体1時間ぐらいで終わる。先生の家を出てから、散歩と運動がてら、大通りまで歩く。

 先生の家があるのは、中央ジャカルタ・メンテン。古くからの高級住宅地だ。豊かな緑の中に、メガワティ元大統領の家やアメリカ大使公邸もある。ゆっくり歩いて、小さな公園を巡って、アメリカ大使公邸の前を通り、ねこを探しながら、古い教会の前を通って、だんだん歩きにくくなる道を、大通りに突き当たるまで歩いて行く。街路樹にマンゴーの実がなっていたり、小さな赤い実が歩道にいっぱい落ちていたり、景色を眺めながら歩いていると、気持ちがリフレッシュする。

ヨーロッパの景色のようにも見える、古い教会
ヨーロッパの景色のようにも見える、古い教会(2020年2月22日)
タムリン通り(2020年2月22日)
タムリン通りの青空と雲(2020年2月22日)

 タムリン通りに出てホテル・プルマンまで来たら、ゲートをくぐって、ホテルに立ち寄って休憩。お昼を食べずに出て来ることが多いので、書道の余韻に浸りながら、「ちょっとぜいたくランチ」をする。無事に終わった安堵感を楽しみ、レッスンで教わったことや次の課題をつらつら考えるのだ。アイス・カフェラテとスモークサーモン・サンドイッチ。生き返る。帰ったら、ねこが待っている。

ホテル・プルマンのカフェでのランチ。パンは好きな物を選べる。私はソフトなパンが好き
ホテル・プルマンのカフェで。好きなパンと具を選び、その場で作ってもらうサンドイッチ

 私の最初の「絶好調・書道生活」(2018年12月〜2019年2月)は、書道を始めて夢中になり、すぐにフレディが来たことで2カ月で終了したのだが、この2回目の「絶好調・書道生活」(2020年2〜3月)もまた、約1カ月で終わった。なぜなら、急にコロナが始まったのだ。

 コロナ禍の外出制限が始まってからも、様子を見ながら、2週間に1度、レッスンに通っていた。コロナ禍中、書道があったことには本当に救われ、「あの時にやめていなくて良かった」と心から思った。しかし、ついに、先生が日本へ長期帰国されることになり、これまでのような、頻繁で定期的なレッスンは望めなくなってしまった。

 こうして学んだのは、「できる時にやる」大切さだ。「いつでもできる」と思っているのは、間違い。書道とは、いろんなことを教えてくれるものだ。

※今は、先生がジャカルタへ戻られた時に、アポを取って通っている。ちょっと無理をしてでも、必ず行くようにしている。