プトリの書道 [書道] #15

プトリの書道 [書道] #15

 書道に関心を示すインドネシア人は結構いる。私の「#ねこと書道」のツイートを見たインドネシア人の親友のプトリが「筆で字を書いてみたい」と言ってきた。ツイートした甲骨文字の写真を「Asyik!」(クール!)と言っている。うちへ来て、初めての書道に挑戦することになった。

書道に挑戦するプトリ。うちでやると、どうしても #ねこと書道 になる
書道に挑戦するプトリ。うちでやると、どうしても「ねこと書道」になる

 プトリは、書道の筆を持つのは初めてだ。何を書くか、手本を何にするか? どうせだったら漢字がいいだろう。そこで、私の初回の課題「温故知新」にしてみたが、難しすぎて、「温」の一文字で終了。

 日本人であれば、漢字の書き順は大体わかっているので、なんとなく筆を運ぶことができる。しかし、プトリは、どの線を先に書くかなど、もちろん、まったくわからない。さらに、私の書道の指導力とインドネシア語力に限界がありすぎた。「力を抜いて」とか、どう言えばいいのか?

 やっぱり、プトリが興味を示していた甲骨文字にするか。これは絵のようだし、自由に書ける。プトリはアーティスティックなセンスに長けている。興味深げに手本を見ながら、筆を絵筆のように動かして、うまく書き上げた。

監督するフレディ
甲骨文字、「鹿鳴」
甲骨文字、「鹿鳴」。動きのある線や、かすれ具合がうまい

 「鹿が鳴く」、「鹿鳴」は、わりにすんなりと清書に至った。

 もう一枚の「風従虎 雲従龍」は、難しい。「虎は風に従い、龍は雲に従う」。「風」は、木の枝が揺れている様を表し、「従」は、2人の人がお辞儀している様子を簡略化したもの、という。

 最初の「風」が難しすぎ、「雲」もまた難しい。「雲」はバティック柄のメガムンドゥン(雨雲)を思わせるのだが、「G」にも見える。ジブリのロゴに似ているので、プトリは「ジブリ」と呼んでいた。「よし。次は『ジブリ』だ」というように。

甲骨文字、「風従虎 雲従龍」
甲骨文字、「風従虎 雲従龍」も出来た!

 プトリらしい、まるまるっとしたかわいい字が書けた。清書に「プトリ」と名前を入れて、大満足だ。「これは額装する」、「Seru」(面白い)、「これでTシャツを作ったら、格好いいよ」と言っていた。

 「Calligraphy…healing」(書道は癒やし)と、本質を掴んでいるプトリなのだった。